十字架を礎として(2016年1号)〜飯島 信

「しかし、このわたしには、わたしたちの主イエス・キリストの十字架のほかに、誇るものが決してあってはなりません。この十字架によって、世はわたしに対し、わたしは世に対してはりつけにされているのです。割礼の有無は問題ではなく、大切なのは、新しく創造されることです。」(ガラテヤの信徒への手紙 第六章14―15節)

敗戦71年、共助会創立97年を迎えた。国内外における混迷の闇が深まる中、日本は2つの法案をもって次世代の進むべき進路を定めた。特定秘密保護法案と戦争法案である。未曾有の犠牲者を出し、2度と繰り返さないことを誓った71年前の絶対非戦の決意は、立憲国家であることすら否定する為政者によって葬り去られた。さらに3.11より5年を迎える中、福島を始めとする被災地では問題の風化との戦いが厳しさを増し、沖縄、在日をめぐる諸問題はより深刻さを増し続けている。

しかし、この憂うべき現実を目の当たりにしつつも、私たちの平和を求める歩みは決してたじろぐことなく、課題解決に向けての祈りと行動は一層の力強さを増し加えている。

ところで、昨年は共助会にとって感謝に満ちた日々となった。春の韓日共助会修練会、夏の全国修養会、秋の京阪神修養会の他、京都・松本・東京に続き、新潟・青森・東海の各地でも志を同じくする友たちの集まりが開かれたからである。そして、新たに5人の入会者が与えられた。又佐久学舎では、若き魂に福音の種蒔きが続けられている。

キリスト教共助会は伝道団体である。主イエス・キリストを友に紹介し、その福音を知らせることこそ私たちの命である。世の苦しみや嘆きに真摯に向き合い、それぞれの馳せ場にあって力を尽くしてその重荷を分かち合いつつも、しかしそれらの根本的解決の道はキリストの十字架によって己が罪を贖われる他はないことを人々に伝えることを使命としている。

創立者森明の日本を救う祈りの真剣さを想う。明日を、真実に希望ある日とするために、どれほどの真剣さをもって今日を生きているのかと自問するのである。私たちが求める主に在る友情の真中には、主イエス・キリストの贖罪の十字架が打ち立てられている。この十字架によって新しく創造された者として、韓国・台湾・中国の友を求め、又「天国の業」(澤崎堅造)である伝道を担い続ける群れであり続けたい。